「3Dプリンターで造形はできたけど、塗装がうまくいかない…」
「ムラが出るし、ザラザラになる」
「何から始めれば綺麗に仕上がるのか分からない」
3Dプリンターの塗装方法について、そんな悩みや不安を感じていませんか?
多くの方が抱える疑問ですが、実は、3Dプリンターの塗装には失敗を防ぐための正しい手順があります。
しかし、安心してください。この悩みには解決策があります。
結論から言うと、3Dプリンターの塗装は下地処理・サーフェイサー・塗装・仕上げの順番を守るだけで、初心者でも大きく完成度を高めることが可能です。
この記事では、3Dプリンターの塗装方法を初心者向けに、下地処理の基本からサーフェイサーの使い方、スプレー・ペン・絵の具の使い分け、失敗しない塗装5手順、素材別の注意点まで、実践的にわかりやすく解説します。
【3Dプリンターの塗装が必要な理由と完成度の違い】
①なぜ3Dプリンターの造形物はそのままでは不十分なのか
3Dプリンターで出力した直後の造形物は、形としては完成しています。しかし、見た目の完成度という意味では「まだ途中の状態」になりやすいです。理由は大きく2つあります。
1つ目は、表面に積層痕や微細な凹凸が残りやすい点です。特にFDM方式(フィラメント)の場合、積層ラインが視認でき、光の当たり方で段差が強調されます。レジン方式でも、サポート痕や微細な傷、未硬化レジン由来のベタつきが残ることがあります。
2つ目は、素材色がそのまま見えてしまい、質感が「樹脂っぽく」見えやすい点です。せっかく造形が良くても、単色の樹脂色のままだと情報量が少なく、細部がのっぺり見えます。
ここで重要なのは、塗装は単に色を付ける工程ではなく、表面を整え、作品の情報量と質感を作る工程だということです。塗装を前提にすると、造形の小さな粗が目立ちにくくなり、作品の説得力が一段上がります。初心者ほど「塗るだけで良い」と考えがちですが、実際は「整える→塗る→守る」の順番が大切です。
②塗装によって作品の印象と価値が大きく変わる理由
3Dプリンターの塗装は、作品の印象を決める要素を複数同時に改善します。まず色分けです。パーツや部位ごとに色を分けるだけで、形状がくっきり見えるようになり、ディテールが読み取れます。次に質感です。トップコートの種類(つや消し・半光沢・光沢)によって、同じ形でも「プラスチック感」「金属感」「陶器感」のような印象を狙えます。
また、塗装には保護の役割もあります。表面がむき出しの樹脂は汚れが付きやすく、触る頻度が高いパーツは擦れやすいです。塗膜とトップコートを作ることで、日常的な取り扱いでの劣化を抑えられます。初心者が目指すべきゴールは、最初から特殊な技法を盛り込むことではありません。工程を省かず、失敗しやすいポイントを先に潰すことが、結果として「売り物のように見える」仕上がりにつながります。
【3Dプリンター塗装の前に必ず行う下地処理の基本】
①下地処理が塗装の仕上がりを左右する
3Dプリンターの塗装において、最も重要な工程が下地処理です。どれほど高価な塗料や道具を使っても、下地処理が不十分であれば、塗装は必ず失敗します。表面が荒れたまま塗装すると、塗膜が均一に乗らず、ムラや剥がれ、ザラつきが発生します。
逆に、下地が整っていれば、初心者でも安定した仕上がりが得られます。塗装は「色を付ける工程」ではなく、「整えた表面を完成させる工程」です。
ヤスリがけの正しい手順と番手の選び方
ヤスリがけは、積層痕やサポート痕を消し、表面を平滑にする作業です。基本は粗い番手から細かい番手へと順に進めます。
FDM造形では、まず#240〜#400程度で段差を消し、その後#600〜#800で傷を均し、最後に#1000前後で仕上げます。レジン造形では#400〜#600から開始し、#800〜#1000で仕上げるのが一般的です。
重要なのは、前の番手の傷を次の番手で完全に消すことです。途中で妥協すると、塗装後にすべての傷が浮き上がります。
表面の洗浄・脱脂の重要性
ヤスリ後の表面には、樹脂粉や油分、皮脂が付着しています。このまま塗装すると、塗料の密着が悪くなり、剥がれやムラの原因になります。中性洗剤と歯ブラシで洗い、水で十分にすすいだ後、完全乾燥させます。
アルコール(IPA)で軽く拭き取ると、脱脂効果が高まり、塗料の食いつきが向上します。
②下地処理を怠った場合に起こる失敗例
下地処理を省略すると、以下の問題が必ず発生します。塗装ムラ、塗膜の剥がれ、表面のブツブツ、積層痕の強調、トップコート後の白化などです。これらはすべて、塗装前の準備不足が原因です。塗装の成否は、下地処理の時点でほぼ決まります。
【初心者が揃えるべき3Dプリンター塗装の道具一覧】
①最低限必要な塗装道具とあれば便利な道具
3Dプリンターの塗装は、道具の選び方で作業の難易度が大きく変わります。初心者が最初に揃えるべき道具は、ヤスリ、サーフェイサー、塗料、トップコート、筆またはスプレー、マスキングテープ、手袋です。
特にサーフェイサーは、微細な傷を埋めながら塗料の食いつきを良くする役割を持ち、塗装工程の品質を安定させます。トップコートは塗装面を保護し、見た目の質感を決定します。
これらが揃っていれば、基本的な塗装作業はすべて行えます。さらに、作業効率を高めたい場合は、塗装用クリップ、回転台、エアブラシなどを追加すると便利です。
②100均で揃えられるおすすめ塗装グッズ
塗装用品は高価なものばかりではありません。100均でも実用的な道具は十分揃います。紙ヤスリ、スポンジヤスリ、マスキングテープ、塗装用手袋、プラ容器、紙コップ、竹串、クリップ類はすべて100均で問題なく使えます。
特にスポンジヤスリは曲面の仕上げに便利で、3Dプリント品の細部処理に適しています。初心者はまず100均アイテムを活用し、必要に応じて専門工具へステップアップする方法が無駄がありません。
③塗料の種類と特徴(スプレー・ペン・絵の具)
塗料には主にスプレー塗料、塗装ペン、アクリル絵の具の3種類があります。スプレー塗料は広い面積を均一に仕上げやすく、初心者でもムラが出にくいのが特徴です。塗装ペンは細部の色分けに向いており、修正作業にも便利です。アクリル絵の具は水性で扱いやすく、細かな表現やウェザリング表現に適しています。
用途に応じてこれらを組み合わせることで、作品の完成度は大きく向上します。
【失敗しない3Dプリンター塗装の5手順【完全ガイド】】
STEP1 下地処理を仕上げる
塗装工程は、すでに説明した下地処理の完成度でほぼ決まります。ヤスリがけと洗浄・脱脂が終わった状態は、塗装のスタートラインです。ここで表面を指で触って引っかかりや粉残りがないことを確認します。わずかな傷や凹みも、塗装後には確実に強調されます。仕上げ前の確認を怠らないことが成功の条件です。
STEP2 サーフェイサーで表面を整える
サーフェイサーは微細な傷を埋め、塗料の定着を高める下地塗料です。薄く均一に吹き付け、完全乾燥後に#800〜#1000で軽く研磨します。この工程によって、塗装面は一段階滑らかになります。サーフェイサーを省略すると、ほぼ確実にムラと段差が発生します。
STEP3 プライマーを使うべきケースと使い方
PLAやABSなど素材によっては、塗料の密着が弱い場合があります。その場合はプライマーを使用します。プライマーは素材と塗料を接着させる役割を持ち、剥がれ防止に非常に効果的です。特にABS素材では必須工程です。
STEP4 本塗装(スプレー・ペン・絵の具の使い分け)
本塗装では、薄く重ね塗りすることが重要です。一度で塗ろうとすると必ず垂れやムラが発生します。スプレーで全体色を塗り、細部はペンや絵の具で仕上げる方法が初心者でも失敗しにくい構成です。
STEP5 乾燥・トップコートで仕上げる
塗装後は完全乾燥させ、トップコートで保護します。つや消し、半光沢、光沢は作品の雰囲気に合わせて選びます。トップコートは見た目の完成度と耐久性を同時に高める最終工程です。
【素材別(PLA・ABS・レジン)3Dプリンター塗装の注意点】
①PLA素材の塗装で失敗しやすいポイント
PLAは扱いやすい反面、表面が比較的硬く、塗料の食いつきが弱い素材です。サーフェイサーのみで塗装すると、使用環境によっては塗膜が剥がれることがあります。PLAではプライマー併用がほぼ必須です。また、耐熱性が低いため、ドライヤーなどでの強制乾燥は変形の原因になります。
②ABS素材の塗装で気をつけるべき点
ABSは塗料の定着が良い素材ですが、表面の油分が残りやすい特徴があります。洗浄・脱脂を入念に行い、プライマーを使うことで密着性が安定します。ABSは耐熱性が比較的高いため、乾燥時間の短縮が可能ですが、急激な加熱は歪みの原因となるため注意が必要です。
③レジン造形物を塗装する際のコツ
レジン造形品は非常に表面が滑らかですが、未硬化レジンが残っていると塗装トラブルが発生します。IPA洗浄とUV硬化を確実に行い、完全硬化後にサーフェイサーを使用します。レジンは塗装の仕上がりが最も美しくなる素材です。
【3Dプリンター塗装でよくある失敗と対処法】
①塗装ムラが出る原因と改善方法
塗装ムラの最大の原因は、一度に塗りすぎることです。塗料は必ず薄く重ねます。1回で色を出そうとせず、数回に分けて乾燥を挟みながら塗ります。スプレー距離は20cm前後を保ち、一定速度で動かすことで均一になります。
②塗装が剥がれる・定着しない原因
剥がれの原因は、脱脂不足とプライマー不足です。表面に油分や粉が残っていると、塗料は密着しません。洗浄→脱脂→プライマーの工程を必ず守ることで、このトラブルはほぼ防げます。
③表面がザラザラになる時の対処法
ザラつきは、スプレーの距離が遠すぎるか、乾燥が早すぎることが原因です。適切な距離を保ち、室温20〜25℃前後、湿度50%前後の環境で作業すると改善します。ザラついた場合は、#1000〜#1500で軽く研磨してから再塗装します。
【3Dプリンター塗装を依頼する場合の選択肢と判断基準】
①塗装依頼の相場と依頼先の選び方
3Dプリンターの塗装は、個人や専門業者に外注することも可能です。相場はサイズやクオリティによって大きく変わりますが、フィギュアサイズで数千円から、展示用クオリティになると1万円以上になるケースもあります。
依頼先を選ぶ際は、過去の制作実績、仕上がり写真、対応素材、修正対応の有無を必ず確認します。安さだけで判断すると、色ムラや塗膜トラブルが起こりやすく、結局やり直しになることが多いため注意が必要です。
②自作塗装と外注のメリット・デメリット
自作塗装はコストを抑えられ、試行錯誤を楽しめる点が最大のメリットです。一方で、仕上がりには経験が必要で、時間もかかります。
外注は高品質な仕上がりが短期間で得られますが、コストがかかります。作品の用途(展示・販売・個人鑑賞)によって、自作と外注を使い分ける判断が最も合理的です。











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