3Dプリンターの食品対応素材と衛生注意点4つ

「3Dプリンターで食品に触れるものを作りたいけど、どの素材なら使えるの?」「食品対応フィラメントと書かれていれば、そのまま安全に使っていいの?」と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。クッキー型や食品用の治具、試作用のパーツなどを3Dプリンターで作りたい一方で、食品衛生や安全性に不安を感じるケースは少なくありません。

実は、3Dプリンターの食品対応素材は、素材名だけで判断するのではなく、食品接触への対応表示、造形方式、表面の凹凸、洗浄性、使用する場面まで含めて考えることが大切です。

結論から言うと、食品対応素材や食品対応フィラメントを使う場合でも、「どの食品に、どのくらいの時間触れるのか」「繰り返し使うのか」「高温や油分に触れるのか」など、用途に合わせて慎重に判断する必要があります。

この記事では、3Dプリンターで使われる食品対応素材の考え方、食品対応フィラメントを選ぶ際の注意点、食品衛生面で確認したいポイント、クッキー型や食品関連パーツなど用途別の判断基準を初心者にもわかりやすく解説します。

目次

【食品対応素材とは?3Dプリンターで使う前に知っておきたい基本】

①食品対応素材とは食品に触れる用途を想定した素材のこと

食品対応素材とは、一般的に食品に触れる用途を想定し、食品接触に関する安全性や基準に配慮して作られた素材を指します。ただし、「食品対応」と表示されていても、すべての食品用途にそのまま使えるわけではありません。3Dプリンターの場合は、フィラメントや樹脂そのものが食品接触用途に配慮されているかどうかが、最初の確認ポイントになります。

ただし、ここで注意したいのは、「食品対応素材」と「3Dプリンターで造形した完成品が食品に安全に使えること」は同じ意味ではないという点です。素材が食品接触に配慮されていても、造形時の温度、ノズル、プリンター内部の汚れ、積層のすき間、造形後の洗浄方法によって、最終的な安全性は変わります。

たとえば、食品に触れるクッキー型や調理補助具を作る場合、素材名だけで「PLAだから大丈夫」「PETGだから安全」と判断するのは避けるべきです。食品に直接触れる用途では、材料の成分だけでなく、食品に触れる時間、温度、洗いやすさ、繰り返し使うかどうかまで含めて考える必要があります。

日本では、食品用の器具・容器包装に使われる合成樹脂について、ポジティブリスト制度が設けられています。食品に直接触れる器具や容器包装に該当するものを業務用途や販売目的で扱う場合は、使用する原材料が制度に適合しているかを確認する必要があります。

②「食品対応」と書かれていても万能ではない

食品対応フィラメントや食品対応樹脂と書かれている素材でも、すべての食品用途にそのまま使えるわけではありません。特に3Dプリンターでは、同じ素材を使っても、造形方式や造形条件によって完成品の状態が大きく変わります。

たとえば、FDM方式ではフィラメントを溶かして一層ずつ積み重ねるため、表面に細かな段差やすき間ができます。このすき間に食品のカスや水分が残ると、洗浄しにくくなる場合があります。Formlabsの食品安全3Dプリントに関する解説でも、FDM方式では層と層の間に細かなすき間ができるため、食品安全部品では可能な範囲で低い積層ピッチを使う考え方が示されています。

つまり、食品対応素材を選ぶことは大切ですが、それだけで十分ではありません。食品対応素材は「安全に使うための出発点」であり、完成品の形状や使い方まで確認して初めて判断できるものです。

特に、熱い食品、油分の多い食品、酸性の食品、長時間触れる用途では、素材の耐熱性や耐薬品性、成分の移行リスクも考える必要があります。短時間だけ使うクッキー型と、食品製造現場で繰り返し使う治具では、求められる確認レベルが異なります。

③素材だけでなく造形方式や使用環境も確認が必要

3Dプリンターで食品に触れるものを作る場合は、素材、造形方式、使用環境をセットで確認することが重要です。素材が食品接触に配慮されていても、家庭用プリンターのノズルに別素材の残りが付着していたり、造形テーブルに汚れが残っていたりすると、完成品に不純物が混ざる可能性があります。

また、造形後の表面がざらついている場合や、細かな溝が多い形状の場合は、洗浄しても汚れが残りやすくなります。食品安全の考え方では、食品に触れる面が清潔に保てること、洗浄や殺菌に耐えられることも重要です。食品接触面は、材料の安全性だけでなく、使用目的に耐える設計であることが求められます。

そのため、3Dプリンターで食品対応素材を使う際は、次のような視点が欠かせません。素材が食品接触用途に対応しているか。造形物の表面に汚れが残りにくいか。洗浄しやすい形状か。高温や油分に触れても問題がないか。繰り返し使用する前提なのか。こうした条件を一つずつ確認することで、用途に合った判断がしやすくなります。

【3Dプリンターで食品対応に使われる主な素材】

①PLAは扱いやすいが耐熱性や衛生面に注意

PLAは、家庭用3Dプリンターでもよく使われる代表的なフィラメントです。反りが少なく、造形しやすいため、初心者でも扱いやすい素材として知られています。クッキー型や簡単な治具の試作などで検討されることもあります。

一方で、PLAは耐熱性が高い素材ではありません。熱い食品に触れる用途や、食洗機、熱湯消毒のような高温環境では変形する可能性があります。また、FDM方式で造形した場合は積層痕が残るため、食品カスや水分が入り込まないように注意が必要です。

そのため、PLAを食品に関わる用途で使う場合は、食品接触対応の材料かを確認したうえで、短時間の接触や試作用途など、用途を限定して考えることが現実的です。繰り返し使う場合は、積層痕の洗浄性や耐熱性も含めて慎重に判断する必要があります。

②PETGは耐水性や強度を求める用途で候補になる

PETGは、PLAよりも粘りがあり、耐水性や強度を求める用途で候補にされる素材です。水分に触れる可能性がある部品や、少し強度が必要な治具などで検討されることがあります。

ただし、PETGも「素材名だけで食品用途に安全」と判断できるわけではありません。食品接触に使う場合は、食品対応グレードの材料かどうか、着色料や添加物が食品接触に適しているか、メーカーがどの範囲まで対応を示しているかを確認する必要があります。

また、PETGもFDM方式で造形すれば積層痕が残ります。表面がなめらかに見えても、層の間や細かな凹凸に汚れが残る可能性があります。食品に直接触れる道具として繰り返し使う場合は、表面処理や洗浄性まで考慮することが大切です。

③PPやナイロンは用途によって選ばれることがある

PPやナイロンは、耐薬品性、耐摩耗性、靭性などを求める用途で使われることがあります。食品機械の周辺部品や治具、搬送に関わる部品など、業務用途ではこれらの素材が候補になる場合があります。

ただし、PPやナイロンは家庭用3Dプリンターでは扱いが難しいこともあります。反りやすさ、吸湿しやすさ、造形条件の管理など、PLAやPETGよりも注意点が増えるためです。さらに、食品に触れる用途では、素材の種類だけでなく、食品接触対応のグレードかどうかを確認する必要があります。

業務用途では、材料メーカーや3Dプリントサービスが提示するデータシート、適合規格、使用条件を確認したうえで判断します。特に食品製造現場では、洗浄剤や消毒剤に触れる可能性もあるため、食品に触れる瞬間だけでなく、使用後の洗浄環境まで含めて素材を選ぶことが重要です。

④業務用途では食品対応グレードの専用材料を確認する

食品工場の治具や機械部品、繰り返し使う食品接触部品では、一般的な家庭用フィラメントではなく、食品対応グレードの専用材料を確認することが重要です。

業務用途では、部品が長期間使われることがあります。そのため、使用中に摩耗したり、熱や薬品で劣化したり、微細な破片が混入したりしないかを考える必要があります。食品製造用の3Dプリント部品では、材料の化学的性質、表面の粗さ、熱や食品への接触、洗浄や殺菌の影響がリスクに関係します。

このような用途では、食品対応素材かどうかだけでなく、使用温度、接触する食品の種類、洗浄方法、使用期間、摩耗のしやすさまで確認します。場合によっては、家庭用プリンターで自作するよりも、食品関連用途に対応した材料や造形方式を扱う専門業者に相談した方が安全です。

【食品対応フィラメントを選ぶときの注意点4つ】

①食品接触対応の表示や証明を確認する

食品対応フィラメントを選ぶときは、まず食品接触に関する表示や証明の有無を確認することが大切です。商品名に「食品対応」「food safe」「FDA準拠」などと書かれていても、その表示が何を意味しているのかまでは必ず確認する必要があります。

たとえば、フィラメントそのものの材料が食品接触用途に配慮されているのか、着色料や添加物を含めた状態で確認されているのか、造形後の完成品まで保証しているのかでは意味が異なります。3Dプリンターでは、素材を熱で溶かし、ノズルから押し出して造形するため、材料単体の情報だけでなく、造形条件も関係します。

特に業務利用や販売目的で使う場合は、メーカーのデータシートや安全データシート、食品接触に関する適合情報を確認することが重要です。確認資料が見つからない場合は、自己判断で食品に直接触れる用途へ使うのではなく、メーカーや専門業者へ問い合わせる方が安全です。

②着色料や添加物まで確認する

食品対応素材を選ぶ際は、ベースとなる樹脂だけでなく、着色料や添加物にも注意が必要です。同じPLAやPETGでも、透明、白、黒、赤、青など色が違えば、含まれる顔料や添加物が異なる場合があります。

そのため、「PLAだから食品に使える」「PETGだから問題ない」と素材名だけで判断するのは避けるべきです。食品に触れる用途では、フィラメントの樹脂本体に加えて、着色料、改質剤、安定剤などが食品接触用途に適しているかを確認する必要があります。

また、家庭用3Dプリンターでは、以前に別の素材や別の色を使用していたノズルから、わずかに残った材料が混ざる可能性もあります。食品に触れるものを造形する場合は、食品用途専用のノズルや造形環境を用意するなど、材料以外の混入リスクにも配慮することが大切です。

③使用温度や接触時間に合う素材を選ぶ

食品対応フィラメントを使う場合は、どの食品に、どのくらいの時間触れるのかを考えて選ぶ必要があります。冷たい食品に短時間だけ触れる用途と、温かい食品や油分の多い食品に長時間触れる用途では、必要な耐熱性や耐薬品性が変わります。

たとえば、クッキー型のように生地へ短時間触れる用途であれば検討しやすい場合があります。一方で、熱いスープ、油分の多い食品、酸性の食品、アルコールを含む食品などに触れる用途では、素材が変形したり、成分が移行したりする可能性を慎重に考える必要があります。

また、食洗機や熱湯消毒を前提にする場合は、素材の耐熱温度だけでなく、造形物の形状変化にも注意が必要です。3Dプリント品は内部に微細なすき間ができることもあるため、高温環境での繰り返し使用には向かないケースがあります。

④ノズルや造形環境の清潔さにも注意する

食品対応フィラメントを使っていても、3Dプリンター本体やノズルが清潔でなければ、食品用途として安心して使うことはできません。通常の3Dプリンターでは、食品用途ではない素材、着色フィラメント、カーボン入りフィラメントなどを同じノズルで使っている場合があります。

その状態で食品に触れる造形物を作ると、ノズル内に残った別素材や微細な汚れが混ざる可能性があります。特に真鍮ノズルは一般的によく使われますが、使用状況によって摩耗や汚れが発生するため、食品に触れるものを作る場合は、専用ノズルを用意するなどの対策が必要です。

さらに、造形テーブル、保管中のフィラメント、造形後の作業台なども清潔に保つ必要があります。食品対応素材を選ぶことは大切ですが、食品に触れるものを作る場合は、プリンター周辺の衛生管理まで含めて考えることが重要です。

【3Dプリンター造形物を食品に使う際の衛生リスク】

①積層痕に汚れや水分が残りやすい

FDM方式の3Dプリンターでは、フィラメントを一層ずつ積み重ねて形を作ります。そのため、造形物の表面には細かな積層痕が残ります。見た目にはなめらかに見えても、拡大すると小さな段差やすき間があり、そこに食品のカスや水分が残ることがあります。

食品に触れる道具では、汚れが残りにくく、洗浄しやすいことが重要です。積層痕が深い造形物や、表面がざらついた造形物は、繰り返し使ううちに衛生管理が難しくなる場合があります。

そのため、食品用途で3Dプリント品を使う場合は、積層痕が衛生リスクになり得ることを前提に考える必要があります。短時間だけ使うもの、使い捨てに近いもの、食品に直接触れないものなど、用途を限定して判断することが大切です。

②洗浄しにくい形状は繰り返し使用に向かない

食品に触れる3Dプリント品では、素材だけでなく形状も重要です。細い溝、深い穴、複雑な内部構造、洗浄ブラシが届かない部分がある形状は、食品カスや水分が残りやすくなります。

たとえば、クッキー型であっても、細かすぎる模様や鋭い凹凸が多い形状では、生地が入り込みやすく、洗浄に手間がかかります。食品用の治具や補助具でも、内部に水分がたまりやすい形状は衛生面で注意が必要です。

繰り返し使用する場合は、洗いやすい単純な形状にすることが基本です。どうしても複雑な形状が必要な場合は、食品に直接触れない用途に限定する、表面処理を行う、専門業者に相談するなどの対応が必要になります。

③高温・油分・酸性食品に触れる用途は慎重に判断する

3Dプリント品を食品に使う場合、高温、油分、酸性食品に触れる用途は特に慎重に判断する必要があります。素材によっては熱で変形したり、食品の成分によって劣化したりする場合があります。

PLAは扱いやすい素材ですが、耐熱性が高いとはいえません。温かい食品や熱湯、食洗機での使用には向かない場合があります。PETGやPPなども候補になることはありますが、食品接触に適したグレードかどうか、使用温度に耐えられるかどうかを確認する必要があります。

また、油分の多い食品や酸性食品は、素材との相性を確認する必要があります。食品に直接触れる時間が長くなるほど、素材の安全性や耐久性を慎重に見る必要があります。特に販売品や業務用の部品では、自己判断ではなく、材料メーカーや専門業者の情報を確認することが重要です。

④コーティングや表面処理にも食品接触対応が必要

3Dプリント品の積層痕を減らすために、コーティングや表面処理を検討する場合があります。しかし、食品に触れる用途では、コーティング剤そのものも食品接触に対応している必要があります。

表面をなめらかにすれば衛生的になるように見えますが、食品対応ではない塗料や樹脂を使うと、かえって安全性の問題が生じる可能性があります。また、コーティングがはがれたり、傷がついたりすると、その部分に汚れが残りやすくなることもあります。

そのため、食品に触れる3Dプリント品へ後処理を行う場合は、素材、造形物、コーティング剤のすべてが用途に合っているかを確認する必要があります。見た目のなめらかさだけで判断せず、食品接触への対応情報や耐久性を確認することが大切です。

【クッキー型や食品用治具など用途別の判断基準】

①クッキー型は短時間接触でも衛生管理が重要

3Dプリンターで食品に関わるものを作る例として、クッキー型は比較的イメージしやすい用途です。オリジナル形状を作りやすく、小ロットでも試作しやすいため、家庭用3Dプリンターでも検討されることがあります。

ただし、クッキー型は食品に触れる道具であるため、短時間の接触であっても衛生管理が必要です。特にFDM方式で作ったクッキー型は、表面に積層痕が残りやすく、生地の油分や水分が細かなすき間に入り込む場合があります。使用後に十分洗えない形状や、細かい模様が多い形状は、繰り返し使用には向きません。

クッキー型として使う場合は、食品接触に対応した素材を選ぶだけでなく、洗いやすい形状にすること、使用後はすぐに洗浄して乾燥させること、劣化や傷が出たら使い続けないことが重要です。販売用の食品に使う場合は、さらに慎重な確認が必要になります。

②食品サンプルや展示用なら直接接触の有無で考える

食品サンプルや展示用の造形物は、実際の食品に直接触れるかどうかで判断が変わります。たとえば、店頭ディスプレイ用の模型や、メニュー撮影用の小物として使うだけであれば、食品接触素材である必要性は低くなります。

一方で、実際の食品の上に置く飾り、食品の近くで使う補助具、盛り付け確認用のパーツなどは、食品に直接触れる可能性があります。この場合は、素材の安全性だけでなく、表面の清潔さや破損時の混入リスクにも注意が必要です。

判断の基本は、食品に直接触れるか、食品へ成分や破片が移る可能性があるかです。直接触れない展示用であれば選択肢は広がりますが、食品に触れる場合は食品対応素材や衛生管理を前提に考える必要があります。

③食品製造用の治具は業務レベルの確認が必要

食品製造現場で使う治具や補助部品は、家庭用のクッキー型よりも高い確認レベルが必要です。食品工場では、同じ部品を繰り返し使うことが多く、洗浄剤や消毒剤に触れる場合もあります。また、製造ラインの中で摩耗や破損が起きると、異物混入のリスクにもつながります。

そのため、食品製造用の治具では、素材が食品接触用途に適しているかだけでなく、耐摩耗性、耐薬品性、耐熱性、洗浄性まで確認する必要があります。造形方式も重要で、積層痕が残りやすい方式では、表面の衛生管理が課題になる場合があります。

食品製造の現場で使う場合は、一般的な家庭用フィラメントで代用するのではなく、食品関連用途に対応した材料や、証明書を確認できる専門サービスを検討することが適切です。社内利用であっても、食品に直接触れる部品は安全性を説明できる状態にしておくことが大切です。

④販売目的の製品は素材証明や法規制を確認する

3Dプリンターで作ったものを食品に触れる製品として販売する場合は、個人利用よりも慎重な確認が必要です。食品に触れる器具や容器包装に該当する場合、素材の安全性や関連する法規制を確認しなければなりません。

「食品対応フィラメントを使ったから販売しても問題ない」と単純に判断するのは危険です。販売目的では、素材の成分、添加物、着色料、造形環境、表面処理、使用方法などを含めて、説明できる状態が求められます。

特に、クッキー型や調理器具、食品製造用部品などを販売する場合は、メーカーのデータシートや食品接触に関する証明の有無を確認しましょう。必要に応じて、専門機関や材料メーカー、3Dプリントサービスへ相談することが大切です。販売目的では「使えそう」ではなく「根拠を確認できる」ことが重要です。

【食品対応素材を安全に使うための確認ポイント】

①メーカーのデータシートを確認する

食品対応素材を選ぶときは、販売ページの説明だけでなく、メーカーが公開しているデータシートを確認することが大切です。データシートには、素材の耐熱性、機械的特性、推奨用途、注意事項などが記載されている場合があります。

食品接触用途で使う場合は、食品対応、food contact、FDA、EU、食品衛生法などに関する記載があるかを確認します。ただし、表記がある場合でも、その対象が原材料なのか、フィラメントなのか、造形後の完成品なのかを読み分ける必要があります。

また、色付きフィラメントの場合は、着色料を含めた情報が示されているかも確認します。透明やナチュラル色の素材と、着色された素材では条件が異なる場合があります。食品用途では、商品名だけでなく、資料で確認する姿勢が重要です。

②食品衛生法やFDAなどの表記を正しく理解する

食品対応素材を探していると、「食品衛生法適合」「FDA準拠」「EU規格対応」などの表記を見かけることがあります。これらの表記は参考になりますが、すべて同じ意味ではありません。

食品衛生法は日本国内の食品用器具や容器包装に関わる制度であり、FDAはアメリカの機関に関する表記です。EUにも食品接触材料に関する規則があります。どの国や地域の基準に関する表記なのか、何に対して適合しているのかを確認する必要があります。

さらに、材料が基準に対応していても、3Dプリンターで造形した完成品の使い方まで自動的に保証されるわけではありません。造形時の温度、ノズル、積層痕、後処理、洗浄方法によって状態は変わります。認証や適合表記は判断材料の一つであり、完成品の安全性は用途ごとに確認する必要があります

なお、「FDA準拠」や「食品衛生法適合」などの表記は、特定の材料や使用条件に対する適合を示している場合があります。3Dプリンターで造形した完成品全体の安全性まで自動的に保証するものではないため、用途、造形条件、表面処理、洗浄方法とあわせて確認することが大切です。

③家庭用プリンターと業務用プリントを分けて考える

食品対応素材を使う場合は、家庭用3Dプリンターで作るものと、業務用3Dプリントで作るものを分けて考えることが大切です。家庭用プリンターは手軽に試作できる反面、造形環境や衛生管理を一定に保つことが難しい場合があります。

たとえば、同じノズルでさまざまな素材を使っている場合、過去に使った素材がわずかに残る可能性があります。また、造形テーブルや作業環境が食品用途を前提に管理されていない場合もあります。そのため、家庭用プリンターで作った食品接触品は、短時間の試用や形状確認など、用途を限定して考えるのが基本です。

一方、業務用プリントでは、材料の選択肢や造形精度、管理体制が異なる場合があります。食品関連用途に対応した材料を扱っているサービスであれば、用途に応じた相談もしやすくなります。食品製造用の治具や販売目的の部品では、家庭用プリンターでの自作にこだわらず、専門業者に相談することも選択肢です。

④不安がある場合は専門業者に相談する

食品に触れる3Dプリント品は、素材名だけでは判断できない要素が多くあります。食品の種類、接触時間、温度、洗浄方法、使用回数、販売の有無によって、確認すべき内容が変わります。

少しでも判断に迷う場合は、材料メーカーや3Dプリントサービス、必要に応じて専門機関へ相談することが大切です。特に業務用途や販売目的では、後からトラブルになることを避けるためにも、事前に根拠を確認しておく必要があります。

相談するときは、「食品に触れる予定です」と伝えるだけでなく、どのような食品に触れるのか、温度はどの程度か、接触時間はどれくらいか、繰り返し使うのか、洗浄方法は何かを整理しておくと、より具体的な回答を得やすくなります。食品対応素材を安全に使うには、素材選びと同じくらい、用途の説明が重要です。

【まとめ:3Dプリンターの食品対応素材は用途と衛生管理で判断しよう】

3Dプリンターで食品に触れるものを作る場合、食品対応素材や食品対応フィラメントを選ぶことは大切です。しかし、それだけで安全に使えると判断することはできません。

食品対応素材を使う際は、素材そのものの情報に加えて、着色料や添加物、造形方式、積層痕、洗浄性、使用温度、接触時間、繰り返し使用の有無まで確認する必要があります。特にFDM方式の造形物は表面に細かな凹凸が残りやすいため、衛生管理を前提にした設計が欠かせません。

クッキー型のように短時間だけ食品に触れるものでも、洗いやすい形状にすることが重要です。食品製造用の治具や販売目的の製品では、素材証明や法規制の確認が必要になります。用途によって求められる安全性は大きく異なるため、家庭用プリンターで対応できる範囲と、専門業者に相談すべき範囲を分けて考えましょう。

3Dプリンターの食品対応素材は、「何の素材か」だけでなく、「どのように造形し、どの食品に、どの条件で使うのか」まで含めて判断することが大切です。食品に触れる用途で不安がある場合は、メーカー資料を確認し、必要に応じて専門業者へ相談することで、より安心して3Dプリントを活用できます。

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