- 「3Dプリントは、なぜ以前より安く利用できるようになったの?」
- 「低価格の代行サービスを選んでも、仕上がりに問題はない?」
このような疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。3Dプリントが安くなった背景には、装置や材料の普及だけでなく、造形方式、サイズ、使用する材料、作業範囲などの違いがあります。安いから品質が低いとは限りませんが、表示価格に含まれる内容の確認は必要です。
この記事では、3Dプリントが安い理由と料金を左右する要素、低価格サービスを利用する際の注意点を解説します。価格差の仕組みを理解し、用途と予算に合った依頼先を選ぶためにお役立てください。
【この記事の結論】
3Dプリントが安くなった主な理由は、技術の普及、装置や材料の量産化、工程の効率化です。ただし、実際の料金は造形方式、サイズ、材料、データ修正、後処理などで変わります。価格だけでなく、必要な品質と見積もりに含まれる作業を確認することが大切です。
【3Dプリントが以前より安くなった理由】
3Dプリントが以前より安く利用できるようになった背景には、装置の普及、技術情報の共有、部品や材料の量産化、ソフトウェアの進化などがあります。
ただし、高精度な産業用装置、金属材料、フルカラー造形など、設備や材料に高い性能が求められる分野では相応の費用がかかります。
①3Dプリンターの普及により装置を導入しやすくなった
3Dプリンターは、かつて研究開発や試作品の製作を中心に使われる高価な設備でした。その後、装置を開発するメーカーや製品の選択肢が増え、個人でも導入できる小型機が普及しています。
米国国立標準技術研究所(NIST)の調査では、積層造形装置の平均価格は、インフレ調整後の金額で2001年から2011年までに51%低下したと報告されています。ただし、これは当時の市場を対象とした歴史的なデータであり、現在の個別製品や造形料金を示すものではありません。NIST「Costs and Cost Effectiveness of Additive Manufacturing」
装置の選択肢が広がったことで、事業者は必要な品質や用途に合う設備を選びやすくなりました。
②特許の期限満了やオープンソース化が開発を後押しした
3Dプリントの低価格化には、一部の基礎特許が期限満了を迎えたことや、設計情報を共有するオープンソースの取り組みも関係したと考えられます。
例えば、材料を押し出して層を重ねる方式に関する米国特許「US5121329A」は、現在、存続期間満了となっています。特許が期限満了を迎えると、その効力が及んでいた国では、保護されていた技術を利用する際の制約が減る可能性があります。ただし、関連する別の特許が存在する場合もあり、特定の製品を自由に製造できるという意味ではありません。Google Patents「US5121329A」
また、RepRapは2004年にオンラインで公開されたオープンソースプロジェクトです。自由に利用できる設計情報やソフトウェアを通じて、低価格なデスクトップ型3Dプリンターの開発が広がる一因になりました。RepRap公式サイト
③部品や材料の量産化によって調達コストが下がった
需要の拡大に伴い、モーター、制御基板、ノズル、光源などの構成部品や、フィラメント、液状樹脂などの材料も流通しやすくなりました。共通して使われる部品や材料を一定量生産できれば、調達コストを抑えられる場合があります。
一方、耐熱性、強度、透明性、色表現などに特殊な性能が求められる材料は、汎用材料より高くなることがあります。樹脂製だから安いと一括りにせず、材料の種類と必要な性能を確認しましょう。
④ソフトウェアの進化により造形工程を効率化できるようになった
3Dプリントでは、造形方向、積層条件、サポート材などの設定が必要です。こうした設定を行うスライサーやデータ確認ソフトの進化により、造形準備の一部を自動化できるようになりました。
オンライン見積もりやセルフ入稿に対応するサービスでは、受付や概算計算の工程を効率化できます。ただし、穴、自己交差、厚み不足などがあるデータは、人による確認や修正が必要になる場合があります。
⑤用途に合った造形方式を選べるようになった
現在は、低価格なデスクトップ型から高精度な産業用まで、さまざまな装置があります。形状確認用の試作であれば、色や表面の滑らかさを抑えた方法で十分な場合があります。
一方、展示用フィギュアや完成品では、細部の再現性、色、仕上がりも重要です。目的に必要な品質を決めれば、過剰な仕様へ費用をかけずに済みます。
【3Dプリントの料金を左右する5つの要素】
3Dプリント代行の料金は、材料代だけで決まるものではありません。主に、造形物の大きさ、造形方式、材料、色や仕上げ、データの状態、作業時間などをもとに算出されます。
①造形物のサイズと体積で材料使用量が変わる
基本的には、造形物が大きくなるほど材料使用量が増え、料金も高くなりやすくなります。ただし、高さが同じでも横幅、奥行き、形状、内部構造が異なるため、同じ料金になるとは限りません。
例えば、細身の人物フィギュアと、横幅の広いデフォルメフィギュアでは、同じ高さでも体積やサポート材の使用量が変わる可能性があります。見積方法は事業者によって異なるため、高さが半分なら料金も半分になるとは限りません。
②造形方式と材料によってコストが異なる
3Dプリントには、熱で溶かした樹脂を積み重ねる方式、液状樹脂を光で硬化させる方式、粉末材料を固める方式、インクジェットのように材料を吐出する方式などがあります。
使用する装置や材料、造形速度、管理方法が異なるため、同じデータでも選ぶ方式によって料金が変わります。安い方式を探す前に、強度、精度、表面、色など、完成品に必要な条件を決めることが重要です。
③単色・フルカラー・塗装で必要な工程が変わる
単色造形、造形後に手作業で塗装する方法、造形時に色を表現する方法では、必要な材料や作業が異なります。
手作業による塗装では、下地処理、マスキング、塗り分け、乾燥などが必要です。形状や色数、求める仕上がりによっては、塗装にかかる費用が大きくなる場合もあります。
TREND 3Dでは、Mimaki 3DUJ-553によるUV硬化インクジェット方式(Material Jetting)のフルカラー造形を行っています。アクリル系樹脂へ造形時に色を表現するため、着色を目的とした完成後の塗装は基本的に必要ありません。
④データの状態によって確認や修正作業が発生する
3Dデータがあっても、そのまま造形できるとは限りません。代表的な問題には、穴、自己交差、内部面、重複面、厚みのない面、法線の不整合などがあります。
フルカラーデータでは、形状だけでなく、テクスチャ画像、UV、ファイル間のリンクも確認が必要です。自動修復で対応できない場合は、手作業による修正費が発生する可能性があります。
TREND 3Dでは、データを一体化した完全なソリッド形状とし、原則として最小厚2mmを基準に確認しています。ただし、必要な厚みはパーツの形状、長さ、向き、用途によって変わります。
⑤後処理・検品・納期・数量も料金に影響する
造形後には、サポート材の除去、洗浄、硬化、研磨、塗装など、方式に応じた後処理が必要です。短納期の場合は造形スケジュールの調整が必要になり、追加料金が設定されることもあります。
複数個をまとめて造形すると効率化できる場合はありますが、3Dプリントは金型を使う量産方法と費用構造が異なります。数量が増えれば、必ず大幅に単価が下がるとは限りません。
NISTも、積層造形のコストには装置と材料だけでなく、造形方向、装置内の配置、造形時間、製品設計、人件費などが関係すると整理しています。NIST「Costs, Benefits, and Adoption of Additive Manufacturing」
【サービスの違いは料金より作業範囲で比較する】
3Dプリントサービスは、価格だけで品質や対応範囲を判断できません。受付方法を「セルフ入稿型」と「個別対応型」に分けて確認すると、違いを整理しやすくなります。
| 比較項目 | セルフ入稿型に見られる傾向 | 個別対応型に見られる傾向 |
|---|---|---|
| データ確認 | 自動確認や利用者自身での確認が中心 | 担当者による確認を依頼できる場合がある |
| データ修正 | 非対応または別サービスの場合がある | 見積もりのうえ対応する場合がある |
| 仕様の選択 | 利用者自身で材料や方式を選ぶ | 用途を伝えて相談できる場合がある |
| 後処理 | 処理内容が決められていることが多い | 必要な仕上げを相談できる場合がある |
| 見積方法 | 自動見積もりに対応する場合がある | データ確認後の個別見積もりとなる場合がある |
実際の料金と対応範囲は事業者によって異なるため、サービスごとの案内を確認してください。
①見積料金に含まれる作業を確認する
同じ金額に見えても、含まれる作業が異なれば、最終的な支払額は変わります。造形費だけでなく、データ確認、修正、サポート材の除去、表面処理、送料などを含む総額で比較しましょう。
②造形精度と表面の仕上がりを確認する
仕上がりには、装置、材料、積層条件、造形方向、元データの状態などが関係します。形状確認用の試作では積層痕が問題にならなくても、人物の顔や小さな文字を表現する場合は、細部の再現性が重要です。
また、ポリゴン数が少ないデータでは、造形物に角張りが表れることがあります。表面の粗さが装置ではなく、元データに由来する場合もあります。
③検品・相談・再造形の条件を確認する
セルフ入稿型は費用を抑えやすい反面、利用者自身が材料や方式を選び、データを整える必要があります。初めて依頼する場合や複雑なデータでは、事前に相談できるサービスが適していることもあります。
データどおりに造形されたもののイメージと異なる場合は、再造形の対象にならない可能性があります。検品範囲や再造形の条件も確認しておきましょう。
④用途から必要なサービスを判断する
形状や寸法の確認を目的とする試作では、色や表面品質を抑えた方法でも目的を達成できる可能性があります。
一方、展示品、贈り物、人物フィギュア、企業キャラクターなどは、色や細部の仕上がりも重要です。その価格で得られる品質と対応が、自分の用途に合っているかを判断しましょう。
【安い3Dプリントサービスへ依頼する際の注意点】
低価格サービスを利用するときは、安い理由が明確で、自分の用途に必要な条件を満たしているか確認します。
①最低価格ではなく総額で比較する
掲載されている最低価格は、小さな造形物や特定の材料など、限られた条件に適用される場合があります。基本料金、データ修正、後処理、梱包、送料、急ぎ対応などを含む総額を確認してください。
②サイズ・色・材料・最小厚を確認する
3Dプリンターには造形可能な範囲があります。最大サイズを超える場合は分割できますが、接合部分の調整や組み立てが必要になります。
また、「フルカラー対応」でも、使用する材料や色の表現方法はサービスによって異なります。透明感や表面の質感を重視する場合は、自分が作りたいものに近いサンプルを確認しましょう。
③データ修正や後処理の料金を確認する
自動見積もりでは注文できても、入稿後にエラーが見つかり、追加費用や再入稿が必要になる場合があります。
OBJ形式でテクスチャを使用する場合は、OBJ本体に加えて、MTLファイルと参照しているテクスチャ画像もまとめて入稿します。サポート材の除去、洗浄、研磨、塗装についても、納品時にどこまで行われるか確認しましょう。
④納期にはデータ確認や後処理も含めて考える
納期は造形時間だけでは決まりません。データ確認、造形準備、後処理、検品、梱包、配送にも時間がかかります。
展示会や記念日など使用日が決まっている場合は、実際に使用する日を伝え、修正や再入稿の時間も含めて余裕を持って依頼しましょう。
⑤実物に近いサンプルから判断する
画像だけでは、実物の色、積層痕、光沢、細部の再現性を正確に判断することは困難です。サンプルを見るときは、サイズ、材料、造形方式が希望条件に近いか確認します。
写真は撮影環境やディスプレイによっても見え方が変わるため、色が重要な場合は、再現条件やサンプル出力の可否を相談する方法もあります。
【品質を保ちながら3Dプリント費用を抑える方法】
費用を抑えるには、最も安いサービスを探すだけでなく、サイズ、内部構造、データの状態、造形方式を用途に合わせて見直すことが効果的です。
①必要以上に大きなサイズで作らない
造形物を小さくすると、材料使用量や造形範囲を抑えられる可能性があります。ただし、全体を縮小すると、髪、指、衣装、アクセサリーなども細くなります。
小さくしすぎると再現できない部分や破損しやすい部分が生じるため、全体サイズだけでなく、最も細い部分の厚みも確認してください。
②肉抜きは強度と排出口を考える
内部を空洞にする肉抜きによって、材料使用量を減らせる場合があります。ただし、外壁が薄すぎると破損する可能性があります。
内部にサポート材などが残る方式では、それを取り出すための排出口も必要です。使用する方式によって適切な壁厚や穴の位置が異なるため、自己判断で空洞化する前に依頼先へ確認しましょう。
③入稿前にデータエラーを確認する
データを造形可能な状態へ整えておけば、修正費や再入稿による遅れを防ぎやすくなります。穴、自己交差、内部面、重複面、法線、厚みなどを確認しましょう。
フルカラーデータでは、テクスチャ画像、UV、ファイル間のリンクも確認します。
④用途から造形方式と材料を選ぶ
形状確認が目的であれば、色や表面品質を抑えた方法を選べる場合があります。展示用フィギュアでは、表面や細部、色の再現性も完成度へ影響します。
安い単色造形を選んでも、後から研磨や塗装を外注すれば総額が高くなる可能性があります。造形費ではなく、必要な完成状態までの費用で比較しましょう。
⑤同じ条件で見積もりを比較する
複数のサービスへ見積もりを依頼するときは、3Dデータ、完成サイズ、材料、色、数量、用途、希望納期、必要な仕上げをそろえて伝えます。
材料や方式が決まっていない場合は、「展示用なので色を重視したい」「形状確認用なので表面は重視しない」など、用途と優先条件を伝えると提案を受けやすくなります。
【フルカラー3Dプリントは塗装を含む総工程で考える】
フルカラー3Dプリントと単色造形を比較するときは、造形時の価格だけでなく、希望する色と仕上がりを完成させるまでの工程で考える必要があります。
①フルカラー造形には複数の方式がある
フルカラー3Dプリントには複数の方式があり、色の表現方法も異なります。
TREND 3Dが使用する3DUJ-553では、UV硬化型の材料を吐出・硬化させながら、3Dデータの色情報も造形物へ表現します。着色を目的とした手塗りは基本的に必要ありませんが、光沢や陰影などの質感を加える場合は後加工を行うことがあります。
②塗装不要でも材料と後処理は必要になる
TREND 3Dが使用する3DUJ-553では、UV硬化型のアクリル系樹脂と水溶性サポート材を使用します。サポート材は水へ浸して除去しますが、サポート材自体の使用量と除去作業は発生します。Mimaki 3DUJ-553公式情報
また、閉じた空洞の内部にサポート材が入ると取り出せない可能性があります。肉抜きを行う場合は、排出口を含めて造形可能な構造にする必要があります。
③造形費だけでなく完成までの費用と納期を比較する
単色造形とフルカラー造形のどちらが適しているかは、造形費だけでは判断できません。
形状確認用の試作であれば、単色造形で費用を抑えやすいでしょう。一方、複数の色や細かな模様があるフィギュアでは、単色造形後の表面処理や塗装費も考慮する必要があります。
フルカラー造形の見積金額が高くても、塗装を含む総費用や完成までの納期では差が縮まる場合があります。具体的な費用目安は、関連記事「フルカラー3Dプリントの料金相場はいくら?費用目安をサイズ別に解説」で確認できます。
【3Dプリントは安い理由と必要な品質を確認して選ぼう】
3Dプリントが以前より安くなった背景には、装置や材料の普及、関連技術の発展、工程の効率化などがあります。ただし、個別の料金は、造形方式、材料、サイズ、体積、色、データの状態、後処理によって変わります。
低価格サービスでも、用途に必要な条件を満たしていれば合理的な選択肢です。一方、表示価格にデータ修正や後処理などが含まれていなければ、追加費用が発生する可能性があります。
TREND 3Dでは、Mimaki 3DUJ-553によるフルカラー3Dプリントに対応しています。着色を目的とした完成後の塗装は基本的に必要ないため、単色造形後に塗装する場合と、完成までの費用や納期を比較して検討できます。
依頼を検討している場合は、3Dデータをホームページのフォームへ添付すると、内容確認後にメールで見積もりを受け取れます。
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