- 「マテリアルジェッティングとは、どんな3Dプリンター方式なの?」
- 「材料噴射法やMJ方式とは違うの?」
- 「光造形やFDMと比べて何が違うの?」
と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。
マテリアルジェッティングは、造形材料の液滴を必要な位置に噴射・堆積し、層を重ねて立体物を作る3Dプリント方式です。高精細で表面をなめらかに仕上げやすく、機種によってはフルカラーや複数材料にも対応できます。
この記事では、マテリアルジェッティングの仕組み、特徴5つ、他方式との違い、向いている用途、外注前の注意点まで初心者向けに解説します。
【この記事の要約】
マテリアルジェッティング(MJT)とは、材料の液滴を選択的に配置しながら積層する3Dプリント方式です。一般的には光硬化性樹脂などを噴射し、UV光で硬化させながら造形します。高精細・なめらかな表面・フルカラー対応機があることが主な特徴です。一方、強度や耐熱性を重視する用途では、材料特性を確認して他方式と比較する必要があります。
【マテリアルジェッティングとは?材料を噴射して積層する3Dプリント方式】
①マテリアルジェッティングの基本的な意味
マテリアルジェッティングとは、造形材料を細かな液滴として必要な位置に噴射し、層を重ねて立体物を作る積層造形方式です。英語では「Material Jetting」と呼ばれ、日本では「材料噴射法」「マテリアルジェット」と表記されることがあります。略称には「MJT」が使われます。
代表的な方式では、液体状の光硬化性樹脂をノズルから噴射し、UV光を当てて硬化させます。ただし、材料や硬化方法は機種によって異なり、ワックス系材料を使う装置もあります。
インクジェットプリンターが紙にインクを配置するのに対し、マテリアルジェッティングは材料を何層も積み重ねて立体物を作るイメージです。細かな液滴を制御できるため、形状の再現性や表面品質を重視する用途に向いています。
②材料噴射法・MJ方式・Material Jettingとの関係
「Material Jetting」「材料噴射法」「マテリアルジェット」「MJT」は、基本的に同じ系統の造形方式を指す表現です。「MJ」と略す資料もあるため、略称だけで判断せず、実際の造形方法を確認すると混乱を防げます。
名前の似ているバインダージェット方式とは仕組みが異なります。マテリアルジェッティングは造形材料そのものを噴射し、バインダージェットは粉末材料に結合材を噴射する方式です。
【マテリアルジェッティングの仕組み】
①材料を噴射して硬化させる
3Dデータを薄い層に分け、各層で必要な位置に材料を噴射します。光硬化性樹脂を使う機種では、噴射後にUV光を当てて硬化させ、その上に次の層を重ねます。
張り出しや空中に浮く形状にはサポート材を使用します。除去方法は機種によって異なり、手作業で取り除くものや、水で除去しやすい水溶性サポート材を使う機種もあります。
②薄い層を重ねるため細部を表現しやすい
材料を細かく配置しながら薄い層を積み重ねるため、複雑な曲面や細かな凹凸を表現しやすい方式です。キャラクターの表情、製品の細いライン、建築模型の小さなパーツなど、細部が重要なモデルに適しています。
ただし、元の3Dデータが粗かったり、極端に薄い形状やエラーが含まれていたりすると、意図した仕上がりにはなりません。高精細造形では入稿データの品質も重要です。
【マテリアルジェッティングの特徴5つ】
| 特徴 | 概要 |
|---|---|
| 高精細 | 細かな凹凸や複雑な形状を再現しやすい |
| なめらかな表面 | 積層痕が比較的目立ちにくい |
| フルカラー | 対応機種では造形時に色を表現できる |
| 複数材料 | 対応機種では異なる材料を組み合わせられる |
| 外観確認に適する | 模型・フィギュア・試作品などに活用しやすい |
①高精細な造形に向いている
材料を細かな液滴として制御できるため、小さな文字や細いライン、複雑な曲面を再現しやすい点が特徴です。試作品や模型など、形状の細部を確認したい用途で強みを発揮します。
ただし、仕上がりはノズルや材料、造形方向、元データの解像度などにも左右されます。
②表面がなめらかに仕上がりやすい
薄い層を積み重ねるため、FDM方式と比べて大きな積層痕が目立ちにくく、表面をなめらかに仕上げやすい方式です。製品デザインの確認や展示用サンプル、フィギュアなど、外観が重要な造形に向いています。
③フルカラー造形に対応できる機種がある
機種によってはフルカラー造形に対応し、3Dデータに設定された色やテクスチャを造形時に表現できます。
たとえばMimaki 3DUJ-553は、フルカラー表現やクリアインクに対応するUV硬化インクジェット方式の3Dプリンターです。造形後に塗装する方法とは異なり、造形と同時に色を付けられます。
ただし、すべてのマテリアルジェッティング機がフルカラーに対応しているわけではありません。
④複数材料を使える場合がある
機種によっては、異なる材料を同一モデル内で使い分けられます。硬さの異なる材料や、透明部分と不透明部分を組み合わせられる場合があります。
対応範囲は装置によって異なるため、希望する材料特性を事前に確認しましょう。
⑤見た目の確認用モデルに使いやすい
高精細、なめらかな表面、フルカラー対応といった特徴から、外観確認用モデルと相性がよい方式です。製品デザインやフィギュアを実物として確認でき、社内プレゼンや顧客提案でも完成イメージを共有しやすくなります。
【マテリアルジェッティングと他の3Dプリンター方式の違い】
| 方式 | 材料の扱い | 主な特徴 |
|---|---|---|
| マテリアルジェッティング | 材料を液滴として噴射 | 高精細。機種によりフルカラー・複数材料 |
| FDM | 熱で溶かした樹脂を押し出す | 比較的導入しやすく、試作や実用品にも使われる |
| 光造形 | 液槽内の光硬化性樹脂を光で硬化 | 高精細で表面をなめらかに仕上げやすい |
| バインダージェット | 粉末に結合材を噴射 | 材料ではなく結合材を噴射する |
①FDM・光造形との違い
FDM方式は、熱で溶かしたフィラメントを押し出して積層します。光造形は、液槽内の光硬化性樹脂に光を当てて必要な部分を硬化させます。
マテリアルジェッティングも光硬化性樹脂を使う機種がありますが、材料をノズルから噴射して配置する点が違います。方式を選ぶ際は、見た目、強度、材料、サイズ、コストの何を優先するかで判断します。
②バインダージェットとの違い
バインダージェットは、敷き詰めた粉末材料に結合材を噴射して形を作ります。材料そのものを噴射するのがマテリアルジェッティング、結合材を噴射するのがバインダージェットと整理するとわかりやすいです。
【マテリアルジェッティングが向いている用途】
①フルカラー模型やフィギュア
フルカラー対応機では、人物・キャラクターフィギュア、建築模型、地形模型など、形状だけでなく色が重要な造形に活用できます。塗装なしでも完成イメージを共有しやすい点がメリットです。
ただし、画面上の色と造形物の色が完全に一致するとは限りません。材料やテクスチャ設定、照明環境によって見え方が変わります。
②製品デザインや展示用サンプル
製品の外観確認や展示会サンプル、プレゼン用モデルにも適しています。量産前に実物として確認することで、形状や色のバランスを判断しやすくなります。
一方、動作確認や耐久試験に使う部品では、材料の強度や耐熱性を確認する必要があります。外観確認用と機能確認用では必要な性能が異なります。
③建築模型や医療模型
複雑な形状や色分けを表現しやすいため、建築模型や医療模型などの説明用モデルにも利用されています。医療分野で治療や手術支援など専門用途に使う場合は、必要な精度や管理条件を満たすサービスか確認が必要です。
【マテリアルジェッティングの注意点】
①強度・耐熱性は材料ごとに確認する
外観モデルに強みがありますが、荷重や衝撃、高温にさらされる部品では注意が必要です。材料特性は装置によって異なるため、実用部品では強度、耐熱性、耐候性など必要な性能を確認しましょう。
②費用はFDMなどより高くなる場合がある
高精細造形やフルカラー表現に対応する装置では、材料費や設備費、サポート材などの影響から、一般的なFDM造形より費用が高くなる場合があります。
一方、フルカラー造形では後から塗装する工程を減らせる場合があります。造形費だけでなく、後加工を含めた総コストで比較することが大切です。
③3Dデータの状態が仕上がりを左右する
フルカラー造形では、形状だけでなくテクスチャや色設定も重要です。モデルに穴あき、内部面、自己交差、極端に薄い部分などがあると、造形エラーにつながる場合があります。
OBJを使う場合は、OBJ本体だけでなくMTLファイルやテクスチャ画像のリンクも確認します。入稿前に形状とカラーデータの両方をチェックすることが重要です。
【マテリアルジェッティングを外注する前に確認したいポイント】
①対応データ形式とカラー情報
外注先によって対応形式は異なります。単色造形ではSTLなどが使われますが、フルカラーではOBJ、3MF、PLY、VRMLなど、色やテクスチャ情報を扱える形式での入稿が求められる場合があります。
特にOBJでは、MTLやテクスチャ画像も必要になることがあります。利用するサービスの推奨形式を事前に確認しましょう。
②色・透明表現・サイズ・納期
フルカラーや透明表現は機種依存です。透明パーツとカラー部分が近い場合は、周囲の色の影響で透明感が弱く見えることがあります。
また、造形可能サイズ、納期、費用も確認が必要です。大型モデルでは分割が必要になる場合があり、データ修正やテクスチャ確認にも時間がかかります。
【まとめ:マテリアルジェッティングは見た目の再現性を重視する造形に有効】
マテリアルジェッティングとは、材料の液滴を必要な位置に噴射・堆積しながら層を重ねる3Dプリント方式です。高精細で表面をなめらかに仕上げやすく、機種によってはフルカラーや複数材料にも対応できます。
特に、フィギュア、模型、製品デザイン、展示用サンプルなど、形状だけでなく色や見た目の完成度を重視する用途で有力な選択肢です。
一方で、材料特性、費用、対応データ形式は機種やサービスによって異なります。外観確認なのか実用部品なのか、何を優先する造形なのかを整理し、目的に合った方式を選びましょう。
【FAQ】
①マテリアルジェッティングと光造形の違いは?
どちらも光硬化性樹脂を使う場合がありますが、材料の扱い方が異なります。マテリアルジェッティングは材料をノズルから噴射して配置し、光造形は液槽内の樹脂を光で選択的に硬化させます。
②マテリアルジェッティングは必ずフルカラーですか?
いいえ。フルカラー対応機はありますが、すべてのマテリアルジェッティング機がフルカラーではありません。
③どんな造形物に向いていますか?
高精細な形状や外観の再現を重視する試作品、フィギュア、建築模型、医療模型、展示用サンプルなどに向いています。