「3Dプリンターでアルミ部品は作れるの?」「個人でもアルミ3Dプリンターの造形を外注できる?」「価格や強度は、切削加工と比べてどう違う?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
実際のところ、アルミは金属3Dプリンターで造形できますが、家庭用3Dプリンターのように気軽に出力するものではなく、専門設備を持つ受託サービスへ外注するケースが中心です。
結論から言うと、アルミ3Dプリンターを検討する際は、造形方式、費用の決まり方、強度や仕上がり、外注サービスの確認ポイントを押さえておくことが重要です。
この記事では、3Dプリンターでアルミ造形する主な方法、費用目安、強度の考え方、DMMなどの受託サービスを確認するときの注意点、個人で依頼する際に知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。
【アルミは3Dプリンターで造形できる?】
①アルミは金属3Dプリンターで造形可能
アルミは、金属3Dプリンターを使うことで造形できます。ただし、一般的には純アルミそのものではなく、AlSi10Mgなどのアルミ合金粉末を用いて造形されます。樹脂3Dプリンターとは異なり、金属粉末をレーザーなどで溶融・固化させながら一層ずつ積み上げる方式が使われます。
代表的な素材としては、AlSi10Mgがあります。DMM.makeのアルミニウムSLM素材ページでも、AlSi10Mgは鋳造部品にも使われるアルミ合金素材として紹介されており、電気伝導性、熱伝導性、耐食性に優れる材料とされています。
そのため、「アルミ 3Dプリンター」と検索している方が知りたい結論としては、アルミ合金を金属3Dプリンターで造形することは可能です。ただし、家庭用プリンターで気軽に出力するものではなく、産業用の金属3Dプリンターや受託造形サービスを利用するのが一般的です。
②家庭用3Dプリンターでアルミ造形は難しい
アルミ造形は可能ですが、家庭用3Dプリンターでそのままアルミ部品を作るのは現実的ではありません。
家庭用として普及しているFDM方式の3Dプリンターは、PLA、ABS、PETGなどの樹脂フィラメントを溶かして積層する方式です。一方、アルミのような金属を造形するには、高温で金属粉末を溶融させる設備、粉末管理、安全対策、後処理設備などが必要になります。
そのため、個人でアルミ部品を作りたい場合は、金属3Dプリンター本体を購入するよりも、アルミ造形に対応した受託サービスへ外注する方法が現実的です。特に試作品や少量部品であれば、3Dデータを用意して見積もりを取り、造形可否や費用を確認する流れが向いています。
③アルミ風フィラメントと本物のアルミ造形は別物
「3Dプリンター アルミ フィラメント」と調べる方もいますが、ここで注意したいのは、アルミ風フィラメントと金属3Dプリンターによるアルミ造形は別物という点です。
アルミ風フィラメントは、見た目に金属感を出すための樹脂系フィラメントであることが多く、実際のアルミ部品と同じ強度や熱伝導性を持つわけではありません。装飾品や見た目の確認には役立つ場合がありますが、機械部品、放熱部品、強度が必要な部品には適さないケースがあります。
一方、金属3Dプリンターによるアルミ造形では、アルミ合金粉末を使って金属部品として造形します。用途が試作確認なのか、機能部品なのか、見た目のサンプルなのかによって、選ぶべき方法は変わります。
つまり、見た目だけを確認したいならアルミ風フィラメント、本物のアルミ部品が必要なら金属3Dプリントというように、目的に応じて使い分けることが大切です。
【3Dプリンターでアルミ造形する主な方法4選】
①金属粉末をレーザーで溶かすSLM方式
3Dプリンターでアルミ造形を行う代表的な方法が、SLM方式です。SLMは、金属粉末を薄く敷き、その中の必要な部分をレーザーで溶かして固めながら積層する方式です。
DMM.makeのアルミニウムSLM素材ページでも、造形方式は「SLM(レーザー溶融)」と記載されています。積層ピッチは0.04mmとされ、サイズや形状によって費用が変動します。
SLM方式は、切削加工では作りにくい形状を作れる点が大きな特徴です。たとえば、複雑な曲面、軽量化を目的とした肉抜き構造、複数部品を一体化した形状などに向いています。
複雑形状や軽量化部品に向いている
SLM方式の強みは、従来加工では難しい形状を一体で作りやすいことです。
切削加工では、工具が届かない場所や内部に入り組んだ形状は加工しにくく、部品を分割して作る必要があります。しかし、金属3Dプリントでは3Dデータをもとに積層していくため、設計自由度が高くなります。
特に、軽量化したい部品や、試作段階で形状を何度も検討したい部品では、アルミ3Dプリントを使うメリットがあります。ただし、すべての形状が自由に作れるわけではなく、サポート材の配置や取り外し、造形方向などを考慮する必要があります。
②金属粉末床溶融結合方式による造形
アルミ造形でよく使われる考え方に、PBFと呼ばれる粉末床溶融結合方式があります。PBFは、平らに敷いた粉末材料にレーザーや電子ビームを照射し、必要な部分を一層ずつ溶融・固化させる方式です。アルミのような金属造形では、金属粉末を材料として使用します。
レーザーを使うタイプはSLM、電子ビームを使うタイプはEBMと呼ばれます。つまり、SLMはPBF系の金属3Dプリント方式の一種として理解すると分かりやすいです。
記事やサービスページによって「SLM」「PBF」「レーザー溶融」など表記が異なることがありますが、読者としては、粉末材料を一層ずつ敷き、熱源で必要な部分を固めていく産業用の造形方式と捉えると理解しやすくなります。
産業用途で使われる代表的な金属3Dプリント方式
PBF系の金属3Dプリントは、工業部品、航空宇宙、自動車、医療、研究開発などの分野で使われています。
アルミは軽量で熱伝導性にも優れるため、放熱部品、軽量部品、試作部品などで検討されることがあります。ただし、造形できるアルミ合金はサービスや装置によって異なるため、A5052やA6061のような一般的な切削材と同じ感覚で選べるとは限りません。
そのため、アルミ3Dプリントを検討する際は、使いたい材料名だけで判断せず、用途に合う材料かどうかを受託サービスに確認することが重要です。
③アルミ対応の受託造形サービスへ外注する
個人や小規模事業者がアルミ3Dプリントを利用するなら、最も現実的なのは受託造形サービスへの外注です。
受託サービスでは、3Dデータをアップロードしたり、見積もり依頼をしたりして、造形可否や費用を確認できます。DMM.makeのように、アルミニウムSLMの材料ページを用意し、材料費の目安、最大造形サイズ、発送目安、仕上げオプションなどを公開しているサービスもあります。
外注を利用するメリットは、金属3Dプリンター本体や粉末管理設備を持たなくても、アルミ造形を試せることです。特に、初めてアルミ3Dプリントを検討する場合は、自社導入よりも外注で1点から試す方がリスクを抑えやすくなります。
個人や小規模事業者でも依頼しやすい方法
アルミ3Dプリントというと大企業向けの技術に見えますが、受託サービスを利用すれば、個人や小規模事業者でも相談できる場合があります。
ただし、依頼時には3Dデータの品質が重要です。データに穴あき、厚み不足、細すぎる部分、重なった面などがあると、見積もりや造形がスムーズに進まないことがあります。
また、サービスによって対応しているファイル形式、造形可能サイズ、後加工の有無、個人依頼の可否が異なります。依頼前には、素材、サイズ、用途、数量、希望納期を整理して相談することが大切です。
④樹脂試作後にアルミ造形へ進める
いきなりアルミで造形するのではなく、まず樹脂3Dプリントで形状を確認してから、最終的にアルミ造形へ進める方法もあります。
アルミ3Dプリントは樹脂造形より費用が高くなりやすいため、設計が固まっていない段階で何度も金属造形を行うとコストが膨らみます。そこで、初期検証では樹脂でサイズ感や干渉、組み付けを確認し、形状が固まってからアルミで機能確認を行う流れが有効な場合があります。
形状確認とコスト調整をしやすい進め方
樹脂試作を先に行うと、設計ミスや寸法の見落としを早い段階で発見しやすくなります。
たとえば、取り付け穴の位置、部品同士の干渉、持ったときのサイズ感、組み立て時の作業性などは、実物を確認することで気づきやすくなります。その後、強度や熱伝導性が必要な部分だけをアルミ造形で検証すれば、費用を抑えながら開発を進められます。
つまり、アルミ3Dプリントは最初から使うだけでなく、樹脂試作と組み合わせて使うことで効果を発揮しやすくなります。
【アルミ3Dプリンターの費用はどのくらい?】
①費用はサイズ・体積・形状で大きく変わる
アルミ3Dプリンターの費用は、部品のサイズ、体積、形状、材料、数量、後加工の有無によって変わります。単純に「何cmならいくら」と決まるわけではなく、3Dデータをもとに個別に見積もるのが一般的です。
DMM.makeのアルミニウムSLM素材ページでは、材料費の目安として1立方cmあたり1,142円からと掲載されています。ただし、同ページにもサイズや形状に応じて変動すると明記されています。
そのため、費用を知りたい場合は、目安だけで判断せず、実際の3Dデータを用意して見積もりを取ることが必要です。特に金属3Dプリントでは、造形物そのものの体積だけでなく、サポート材や後加工も費用に関係します。
②サポート材や後加工が費用に影響する
アルミ3Dプリントでは、造形中に形状を支えるためのサポート材が必要になる場合があります。サポート材は、せり出した形状を支えたり、造形中の変形を抑えたり、熱を逃がしたりする役割を持ちます。
ただし、サポート材は造形後に取り外す必要があります。サポートが多い形状は、材料使用量や造形時間だけでなく、除去作業や表面仕上げの工数も増えやすくなります。金属3Dプリントでは、サポートを除去した部分に跡が残る場合もあるため、造形方向や仕上げ方法を含めて検討することが重要です。
つまり、アルミ3Dプリントの費用を抑えたい場合は、単に部品を小さくするだけでは不十分です。サポートが少なくなる形状や造形方向を意識することも、コスト調整につながります。
③DMMなどのサービスでは材料ページや見積もりで確認する
アルミ3Dプリントの費用を調べるときは、DMMなどの受託サービスが公開している材料ページを確認すると、目安をつかみやすくなります。
たとえば、DMM.makeのアルミニウムSLMページでは、AlSi10Mg、SLM方式、最大造形サイズ、発送目安、仕上げオプションなどが掲載されています。発送目安は10〜25日とされており、バレル研磨の仕上げオプションも案内されています。
ただし、公開されている情報はあくまで目安です。実際の価格や納期は、形状、数量、混雑状況、後加工内容によって変わります。外注前には、材料ページで概要を確認し、最終的には3Dデータで見積もるという流れが適切です。
④金属3Dプリンター本体価格は個人向けではない
アルミ造形に対応する金属3Dプリンターは、一般的な家庭用3Dプリンターとは設備規模が大きく異なります。
金属粉末を扱うための安全管理、造形後の粉末除去、サポート除去、熱処理、研磨、機械加工などが必要になる場合があり、本体を購入すればすぐ使えるというものではありません。さらに、装置本体だけでなく、設置環境や運用体制も必要です。
そのため、個人でアルミ造形をしたい場合は、金属3Dプリンター本体の購入よりも、受託造形サービスを利用する方が現実的です。まずは外注で1点試し、用途や品質が合うかを確認してから、継続利用や別の加工方法との比較を行うとよいでしょう。
【アルミ3Dプリント品の強度と仕上がりの考え方】
①アルミ合金の種類によって強度は変わる
アルミ3Dプリント品の強度は、使用するアルミ合金の種類や造形方式、造形方向、後処理の有無によって変わります。
アルミといっても、すべてが同じ性質を持つわけではありません。3Dプリントでは、AlSi10Mgのようなアルミ合金が使われることがあります。DMM.makeのアルミニウムSLM素材ページでも、AlSi10Mgは鋳造部品にも使われるアルミ合金素材として紹介されています。
そのため、アルミ3Dプリントを検討するときは、単に「アルミで作りたい」と伝えるだけでなく、どのような用途で使うのか、どの程度の強度や耐熱性が必要なのかを整理しておくことが重要です。
特に、機械部品や治具として使う場合は、見た目だけでなく、荷重のかかり方、使用環境、取り付け方法まで考えて材料を選ぶ必要があります。
②切削加工品と同じ強度とは限らない
アルミ3Dプリント品は金属として造形できますが、切削加工で作ったアルミ部品とまったく同じ性質になるとは限りません。
切削加工は、板材やブロック材から削り出して形を作る方法です。一方、金属3Dプリントは、金属粉末を一層ずつ溶融・固化させて造形する方法です。製造方法が異なるため、内部組織、表面状態、造形方向による性質の違いが出る場合があります。
そのため、強度が重要な部品では、「アルミだから大丈夫」と判断するのではなく、造形サービス側に用途を伝えて確認することが大切です。
たとえば、試作品として形状や組み付けを確認するだけなのか、実際に荷重がかかる機能部品として使うのかで、必要な確認項目は変わります。実用品として使う場合は、材料データ、熱処理、後加工、検査の有無まで確認しておくと安心です。
③表面は積層跡やざらつきが残る場合がある
アルミ3Dプリントでは、造形方式の特性上、表面に積層跡やざらつきが残る場合があります。
樹脂3Dプリンターでも積層跡が見えることがありますが、金属3Dプリントでも同じように、造形後の表面がそのまま完成品のように滑らかになるとは限りません。DMM.makeのアルミニウムSLMページでも、質感は「ざらざら」とされ、造形段差は形状や造形姿勢により目立つことがあると説明されています。
したがって、外観を重視する部品や、手に触れる部品、摺動する部品では、造形後の仕上げまで含めて検討する必要があります。
④必要に応じて研磨・機械加工・熱処理を検討する
アルミ3Dプリント品は、造形して終わりではなく、用途によって後加工が必要になる場合があります。
代表的な後加工には、サポート除去、研磨、ブラスト、機械加工、ねじ切り、穴あけ、熱処理などがあります。特に、取り付け穴の精度が必要な部品や、他の部品と組み合わせる部品では、3Dプリントだけで最終寸法を完全に満たすのではなく、必要な部分だけ機械加工で仕上げることがあります。
重要なのは、造形前の段階で、どこに精度が必要かを明確にすることです。
すべての面を高精度に仕上げようとすると費用が上がりやすくなります。一方で、取り付け面や穴位置など、重要な箇所だけを指定すれば、コストと品質のバランスを取りやすくなります。
【アルミ3Dプリンターの受託サービスを選ぶポイント】
①対応しているアルミ合金を確認する
アルミ3Dプリンターの受託サービスを選ぶときは、まず対応しているアルミ合金を確認します。
アルミといっても、サービスごとに扱っている材料は異なります。AlSi10Mgに対応しているサービスもあれば、別のアルミ合金を扱っている場合もあります。また、サービスページに「アルミ」と書かれていても、造形方式や仕上げ、最大サイズ、対応条件はそれぞれ違います。
そのため、依頼前には、材料名、造形方式、用途に合うかどうかを確認することが大切です。
特に、A5052やA6061などの一般的な切削用アルミ材をイメージしている場合は、その材料を3Dプリントでそのまま選べるとは限りません。希望する材料がある場合は、見積もり時に確認しましょう。
②価格だけでなく納期と後加工も確認する
受託サービスを選ぶときは、価格だけで判断しないことが重要です。
アルミ3Dプリントでは、造形費だけでなく、サポート除去、研磨、機械加工、検査、梱包、送料などが関係する場合があります。また、納期もサービスや混雑状況、造形サイズ、後加工の内容によって変わります。
DMM.makeの素材一覧では、アルミニウムSLMがSLM方式の材料として掲載されており、材料の特徴や対応素材の概要を確認できます。 ただし、実際の費用や納期は形状や条件によって変動するため、最終的には3Dデータをもとに見積もりを取る必要があります。
価格が安く見えても、必要な後加工が含まれていなければ、最終的な費用は高くなる場合があります。反対に、多少費用が高くても、データチェックや相談対応が丁寧なサービスの方が、初めての依頼では安心です。
③造形可能サイズと精度を確認する
アルミ3Dプリントを依頼する前には、造形可能サイズと精度も確認します。
金属3Dプリンターには、装置ごとに造形できる最大サイズがあります。部品が大きすぎる場合は、分割造形が必要になることがあります。また、細すぎる形状や薄すぎる壁、長く伸びた形状などは、造形中に変形しやすくなる場合があります。
精度についても、切削加工と同じ感覚で考えないことが大切です。3Dプリントは複雑形状を作りやすい一方で、寸法精度が必要な箇所には追加加工が必要になることがあります。
そのため、図面や3Dデータを用意する際は、重要寸法、はめ合い、ねじ穴、取り付け面などを明確にして相談することが大切です。
④3Dデータのチェックや相談対応があるか確認する
初めてアルミ3Dプリントを依頼する場合は、3Dデータのチェックや相談対応があるサービスを選ぶと安心です。
金属3Dプリントでは、データ上では問題なく見えても、実際には造形しにくい形状があります。たとえば、サポートを除去できない内部構造、薄すぎる壁、細すぎる突起、粉末が抜けない空洞などです。
こうした問題は、造形前に確認しておくことで失敗を減らせます。
特に、業務用の試作品や機能部品を依頼する場合は、単に「出力できるか」だけでなく、目的に合った品質で仕上がるかを相談できるサービスを選ぶことが重要です。
【個人でアルミ3Dプリンター造形を依頼するときの注意点】
①個人依頼に対応しているサービスを選ぶ
個人でアルミ3Dプリントを依頼する場合は、まず個人依頼に対応しているサービスかどうかを確認します。
金属3Dプリントは法人向けの受託サービスも多いため、個人からの依頼を受け付けているか、1点から依頼できるか、支払い方法は何に対応しているかを事前に確認する必要があります。
また、個人依頼の場合でも、3Dデータの品質は重要です。サービス側がデータ修正まで対応してくれる場合もありますが、基本的には依頼者側で造形できるデータを用意する必要があります。
そのため、個人で依頼する場合ほど、データ形式、サイズ、用途、予算を整理してから相談することが大切です。
②3Dデータの形式と不備を確認する
アルミ3Dプリントを外注するには、3Dデータが必要です。一般的には、STL、STEP、OBJなどの形式が使われることがありますが、対応形式はサービスごとに異なります。
3Dプリント用データでは、形状が閉じていること、厚みがあること、不要な面や重複がないことが重要です。穴あき、反転した面、交差した形状、薄すぎる部分があると、見積もりや造形が止まる原因になります。
特に金属3Dプリントでは、樹脂よりも造形費が高くなりやすいため、データ不備による手戻りは避けたいところです。
依頼前には、造形したい形状が1つの立体として成立しているか、最小肉厚を満たしているか、細すぎる部分がないかを確認しましょう。
③用途・数量・希望納期を整理して相談する
受託サービスに相談するときは、3Dデータだけでなく、用途、数量、希望納期も伝える必要があります。
同じ形状でも、展示用サンプル、試作用部品、治具、機能部品では、必要な品質が異なります。見た目を確認するだけなら表面仕上げを重視する必要がありますし、機械部品として使うなら強度や寸法精度が重要になります。
また、1個だけ作るのか、数個作るのか、継続的に依頼する可能性があるのかによって、提案される方法が変わる場合があります。
依頼時には、何のために使う部品なのかを具体的に伝えることが、適切な見積もりや造形方法の提案につながります。
④著作権や商用利用の問題にも注意する
個人でアルミ3Dプリントを依頼する場合でも、著作権や商用利用には注意が必要です。
インターネット上で配布されている3Dデータの中には、個人利用のみ許可されているものや、商用利用が禁止されているものがあります。また、キャラクター、ブランドロゴ、既存製品の形状を無断で複製する場合は、権利上の問題が発生する可能性があります。
特に、販売目的でアルミ部品を作る場合や、他社製品に似た形状を作る場合は、事前に権利関係を確認する必要があります。
アルミ3Dプリントは高品質な部品を作れる方法ですが、データの出所と利用範囲を確認してから依頼することが大切です。
【アルミ3Dプリンターに向いている用途・向いていない用途】
①軽量化や複雑形状の部品に向いている
アルミ3Dプリンターは、軽量化したい部品や複雑形状の部品に向いています。
金属3Dプリントでは、切削加工では作りにくい曲面形状、肉抜き形状、複数部品を一体化した形状などを検討しやすくなります。日本電子の解説でも、金属3Dプリンターはメッシュやラティス構造、中空構造体などの複雑形状、軽量化、部品の一体化にメリットがあるとされています。
ただし、受託サービスや材料によっては、中空構造や複雑な内部構造に制限があります。たとえば、DMM.makeのアルミニウムSLMでは、中空構造のモデルは製造不可とされ、内部構造が複雑な場合はサポートを除去しきれないと説明されています。
そのため、アルミ3Dプリントは複雑形状に強みがありますが、閉じた空洞やサポートを取り出せない内部構造は、事前確認が必要です。
②試作・研究開発・少量生産に向いている
アルミ3Dプリントは、試作、研究開発、少量生産に向いている場合があります。
金型を作らずに3Dデータから直接造形できるため、設計変更を繰り返す開発段階では使いやすい方法です。特に、複雑な形状を短期間で確認したい場合や、少数だけ金属部品が必要な場合には、切削加工や鋳造と比較する価値があります。
また、樹脂試作では確認できない熱伝導性、剛性、金属らしい質感を検証したい場合にも有効です。
ただし、アルミ3Dプリントは万能ではありません。少量で複雑な形状ほどメリットが出やすく、単純形状や大量生産では別の加工方法が向く場合があります。
③単純形状や大量生産では切削や鋳造が向く場合がある
アルミ3Dプリンターは便利な方法ですが、すべてのアルミ部品に最適なわけではありません。
たとえば、単純な板形状、ブロック形状、角材から削り出せる形状であれば、切削加工の方が安く早く仕上がる場合があります。また、同じ形状を大量に作る場合は、鋳造やプレス加工などの方がコスト面で有利になることがあります。
そのため、アルミ3Dプリントを選ぶべきかどうかは、形状の複雑さ、数量、必要な強度、納期、予算を総合的に見て判断する必要があります。
「アルミで作れるから3Dプリンターを使う」のではなく、「3Dプリンターを使う理由がある形状か」を確認することが大切です。
④コスト重視なら他の素材や加工方法も比較する
コストを重視する場合は、アルミ3Dプリントだけでなく、他の素材や加工方法も比較しましょう。
形状確認が目的であれば、樹脂3Dプリントで十分な場合があります。外観確認やサイズ確認だけなら、フルカラー樹脂、ナイロン、レジンなどで試作し、必要に応じてアルミに進める方法もあります。
また、強度が必要な場合でも、切削加工、板金加工、鋳造、樹脂と金属部品の組み合わせなど、選択肢は複数あります。
大切なのは、アルミ3Dプリントを目的にするのではなく、製作したい部品に最も合う方法を選ぶことです。
【3Dプリンターでアルミ造形する前に確認したいこと】
①まずは用途と必要な性能を明確にする
アルミ3Dプリントを依頼する前に、まず用途と必要な性能を明確にします。
確認するべきことは、「何を作るか」だけではありません。どのような環境で使うのか、どれくらいの荷重がかかるのか、熱が加わるのか、見た目を重視するのか、他の部品と組み合わせるのかまで整理する必要があります。
用途が明確であれば、受託サービス側も材料や造形方法、後加工の提案をしやすくなります。
②予算・納期・仕上げの希望を整理する
次に、予算、納期、仕上げの希望を整理します。
アルミ3Dプリントは、形状や後加工によって費用が変わります。表面をきれいにしたい場合、寸法精度を高めたい場合、短納期で作りたい場合は、費用が変わる可能性があります。
そのため、見積もり時には「できるだけ安く」だけでなく、どこを優先するのかを伝えることが重要です。
たとえば、試作用であれば多少表面が粗くても問題ない場合があります。一方、外観サンプルや最終部品に近いものを作る場合は、仕上げや後加工まで含めて相談する必要があります。
③造形方式よりも「目的に合うか」で判断する
アルミ3Dプリントを調べると、SLM、PBF、金属粉末床溶融結合方式など、専門用語が多く出てきます。
もちろん方式を理解することは大切ですが、最初から方式名だけで判断する必要はありません。読者にとって重要なのは、作りたい部品が目的に合った品質で作れるかどうかです。
複雑形状を作りたいのか、軽量化したいのか、放熱性を確認したいのか、実用品として使いたいのかによって、必要な条件は変わります。
そのため、造形方式の名前だけを見るのではなく、材料、サイズ、精度、強度、後加工、費用を合わせて確認しましょう。
④不安な場合は受託サービスに早めに相談する
アルミ3Dプリントが初めての場合は、早い段階で受託サービスに相談することが大切です。
金属3Dプリントでは、設計が進んでから造形できないことが分かると、修正に時間がかかります。特に、薄すぎる形状、閉じた空洞、サポートを取りにくい構造、粉末が抜けない形状などは、早めに確認しておく必要があります。
相談時には、3Dデータ、用途、数量、希望納期、必要な仕上げ、使用環境を伝えるとスムーズです。
アルミ3Dプリンターは、複雑形状や軽量部品の製作に役立つ方法です。ただし、費用や強度、仕上がり、後加工の条件を理解したうえで使う必要があります。まずは自分の部品がアルミ3Dプリントに向いているかを確認し、外注サービスに相談することが、失敗を防ぐ近道です。
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